手の小さいピアニスト

手が大きいことの誤解

先日なんとなく観たテレビにピアニストが出演していた。もちろんわたし如き、スタジオラッキーキャット専属ピアニストなんぞというわけの分からぬ無名ピアニストではない。

権威のある国際コンクールで優勝するような立派なピアニストです。

この方が自分がピアノが上手なのは手がでかいからだと、、。なんでもも12度(ドから数えて1オクターブ上のソまで)開く、なのでリストのような超絶難曲でも弾ける。

いやいや、手が大きいことの自慢は結構だし、ロマン派以降の難曲モノにするには手がデカいのは小さめの手の持ち主よりはるかに有利だ。

それはそれとして、わたしの手は9度しか開かない。これでも手の大きさの割には開く、ピアニストの決定的特徴として左手の方が開く。これは左手のほうが沢山の和音を捕まえるからだ。

それでもわたしだって、リスト弾けますぜ。ただし練習する環境にあればの話だ。とはいえ、わたしはリスト、シューマンは嫌いだ。

更に、手の大きさはわたしといい勝負だが、これまたリストの難曲ひとつのミスタッチもしないで弾いて見せる女性(わたしの高校の時の後輩)おりますよ。

手が大きい方が有利は有利だ。チャイコフスキーの四季弾くくらいでも、真ん中のパートとソプラノパート、いっぺんに弾け。に、苦労する。

以前このブログで書いたショパンエチュードの革命だって、わたしは2番目に出てくる属七、鍵盤の下の方から押さえないと弾けない。

これこれ、これです。

最近の子供は体も大きいが手足大きな子多くて、確か小5くらいの生徒にこの和音を上から掴めるか、って言って弾かせたら、、。

この1番上の和音です。その生徒さんわたしより、手が大きくて指も長い。難なく鍵盤の下の方から捕まえるような裏技使わなくても弾くこと出来ました。

ただし!まだ難易度的にこのやっかいなエチュードモノにするにはちと無理でした。

でも、、なにが言いたいかって言うと、、。

手が大きくてもピアノが上手なわけじゃない!

なのです。

これ、時として大人の初心者にいるのですが、わたし手が大きいから才能ありますよね(⊙ˍ⊙)(謎)

というノリでピアノ始めたい人がいるのです。

あんまり関係ありません。最初っからリストのエチュード弾けるはずないでしょ。って、言うわけにもいかない。

というか、この手の大きな人でも全く開かない手の持ち主、全然動かない、もう指全部が第4指と5指でできてるんじゃないか?ってくらい動かない人の場合、有利どころか時間かけて指が開くように、動くようにトレーニングするしかないのです。

なので、手が大きい人はピアノの才能がある。ってような誤解伝説生むような言動は、それはピアニストだけやってるような方はいいでしょうが、わたしのように街のピアノ教室の主催者にとっては時として唖然とする事態に陥るのです。

結論

手が小さめでもピアノは上手になりますよ。練習しましょう。

鍵盤楽器センスはまた次元が違う問題だからです。

ただここで誤解のなきよう、言っときますが、それでもこの手のサイズで難曲大曲を、譜面通りに弾くのは諦めてもらわなければならない場面があるのです。

それは、成人および、成人並みの体格になった後でも1オクターブ開かないくらい手が小さい場合です。

このタイプの人もいることはいます。

こればかりは対処法知りません。オクターブ奏法のない曲目を選ぶか音を抜いて弾くしか対処法ありません。

ついでに指と指の間を切る手術受ければいい。なんてのは最大級のガセで、そんなことが出来るのか出来ても指の神経傷つけてしまうだけです。

このガセ、シューマンが流したのが最初みたい。だからじゃないけど、わたしはシューマン嫌いというか苦手。

手が小さい

わたしは手が小さい。
だが、どれくらい小さいてかというと特筆する程小さいわけではないくらい。

手というものはピアノを弾く時以外でも常時人目にさらされている。と、いうか日常的に使うので、その大きさは特に意識しなくても見当がつく。

それが若い頃悩みだったか?と、いうとそんなことはない。

多少は気になっていた事象なので、大人になってから、この先生のレッスン受けるのは初めて!!
の時に質問してみた。
わたし「わたしは手が小さいので、不利なこと多いのでしょうか?」
先生「あらそう?!わたしだって手大きくないわよ。1オクターブは届くでしょう?」
わたし「ハイ!届きます。(楽勝です。)」
先生「だったら問題ないですよ。問題なのは大きさより開かない手や、動かない指のほう、、。」
わたし(それはわかります。)注:わたしはヤマハで教えていた。

オクターブはわたしは小学生の頃確かに5年生くらいで届いて1オクターブ掴む曲でも原曲のまま弾いていた。
1オクターブが頻繁に出てくる曲が弾けるくらいまで上達してもオクターブに手が届かない子は仕方ないので音を抜いたり、単音で弾かせたりする。

わたしでなく生徒に目を向ければ小学校も高学年ともなれば、わたしなんかより手の大きい少年少女はいくらでもいる。
なので、もう子供だましでなく1オクターブ奏法の出てくる一人前バージョンの曲に移行するわよ。

だが、当の少年少女(主に少女)は1オクターブがキツイと泣き言をいう場面がある。
そう。手の大きさはお釣り来るくらいたくさんでも1オクターブが頻繁に出てくる曲を弾くのは修行が必要なのだ。
わたしは少女たちよりはるかに小さな手で、もうそれくらいの年齢で1オクターブ満載の曲を(得意になって)弾いていたのだ。

しかも、皆さんは開かない手でも動かない指でもない。
修行だ。これからは1オクターブが出てくる曲をセレクトして差し上げよう(´∀`*)

だが!超残念!!
わたしが先生に手が小さめでも1オクターブが掴めりゃピアノは弾ける。
で、わたしについては妙に納得し、わたし程度に手の小さめなピアニストだっていくらでもいる。
これで手が小さい問題は解決、と見えたが世の中はそうは単純でない。





13歳になっても、難曲をぼちぼち弾けるようになっても1オクターブが届かない。

というケース。
13歳だとこれからまだ、身長が伸びてそれにしたがい手も成長する。ということも考えられる。
だが、わたしが囚われていた手が小さい。
という問題はわたしの場合は大した問題ではないが、やはりオクターブ奏法がキビシイほど手が小さいというのはハンデになってしまう。

これとは逆のケース。
大昔、ヤマハで教えていた頃成人男性の生徒が入会した。
その方の体格、容貌はあまり記憶にないのだがわたしの倍くらいはあるデカイ手をしている。
わたしはこれくらい大きな手だったらさぞかし楽勝でピアノが弾けるんだろうな。

そのように考えた。
ところがΣ(゚д゚lll)その方、手の大きさはわたしの倍でも、わたしの5分の1くらいしか手が開かない。
最初は(わたしをおちょくってるのか?!)と、思うも本当に開かないことが判明。
指と指の間が開かないくらい日常的には問題がないらしくご本人には自分の手が開かない。という自覚はない。

さて、どうしましょ??
入門、初心者用のテキストはそうそう手が開かなくても弾ける曲で構成されているのでなんとかなる。
そして徐々に手広げ修行をするしかないだろう、、。

ヤマハのような大きな組織で運営している場合。
生徒が違う曜日のレッスン変更を希望すると自動的に講師も代わってしまうので、しばらくするとわたしの配下からこの生徒さんは離れた。
なのでその後の成り行きはわからない。

ちなみに

この赤丸印、ショパンエチュード12番の華麗なる属七の一味。3小節めに出てきますが、これ弾けないの?って?弾けますよ。
ただ、わたしはこの音符の配列になると鍵盤の上から掴めません。
上のDの音は鍵盤の下のほうから捕まえ奏法で乗り切ります。

なのでこの3小節め細心の注意を払って打鍵いたします。
なんとなくノリで弾いてしまうと、ご近所さんの鍵盤をみんな触ってしまって出だしそうそう大惨事となるのです。

あるときわたしは気になって、わたしより手が大きく指の長い小学生女子の生徒に。
「この音、鍵盤の上から弾ける?」
と、そのように持ちかけたところ、、。
「弾けるよ。」

ちゃんと少女は鍵盤の上から掴んで弾けてました。
そうか(´∀`*)これから音符玉がオクターブ内にいっぱいちりばめられた曲をモノにしようね。

やはり手が大きというのは有利だ。