はじめに
入門級のテキストが終わって、必ずしもブルクミュラー25の練習曲に入る。何もブルクミュラーである必然性はありません。ピアノの練習ABCでもツェルニー100番でもその他なんでも良いのですが、ここではブルクミュラー25の練習曲の曲想記号について語ってゆきます。
ついでに世の中にはブルグミュラーコンクール等もあるので、このコンクールを受ける際は絶対ブルクミュラー25の練習曲が必須となることでしょう。
またこの、音楽表現のための記号をわたしは長年に渡って曲想記号ととらえていたのですが、発想記号という言い方もあるらしく、どっちでも良いのでしょうが、わたし長年に渡って曲想記号と認識していたもので曲想記号で話を進めてゆきます。
また、本日だけで25曲すべての記号を網羅するのは疲れ果ててしまう懸念がありますので、取り合えず1番から3番まで、とさせていただきます。4番以降は後日必ず作成いたしますのでご期待ください。
東音企画出版のブルクミュラー25の練習曲です。
ブルクミュラーどこの出版社も一緒よ。と、以前は申しておりましたが、やったね東音企画!和音記号とコードネームが付いております。当然この時代はまだコードネームは発明されてはいなかったに違いなく、原典版?!にはコードはついていたかったはずです。
だが、現在は21世紀コードネームというのは途轍もなく重宝するのです。
こちらはドレミ楽譜出版社の子供向けブルクミュラー25の練習曲、美しいイラストがついていて、音符がやや大きめです。この教科書の場合、時としてわたしがコードネームや和音記号はつけておりました。
1番La candeur 又はArtless mind
日本語では、「正直」とか「素直な心」と、翻訳されております。エチュードですが表題つきです。
ここで最初に出てくるのは、その記号もdolceこれは皆様説明するまでもなく、最も有名な曲想記号のひとつじゃないか?と、思います。意味は優しく、甘く、愛らしく。
子供の生徒に指導するときは「優しく」「愛らしく」心を込めて弾くのです。と、指導します。何故かというと「どうしたら甘くなるの?」と、聞かれたら困るからです。年少者の場合甘いという言葉が、味覚に通ずる甘いまでしか語彙が発達していないことが考えられるからです。
dolceがどれほど有名かといいますと、このdelceで検索すると「この発想記号」でなく、音楽教室の屋号がゴマンと出てきます。
話元に戻して、ブルクミュラー25の練習曲1番、翻訳通り正直で邪心なきことを意味しております。左手のC-F-G7の和音を柔らかく、右手pでソミレドソミレドをレガートに弾きましょう。
今回は強弱記号は除きますので、dolce以外は、cresc.はまんまクレシェンド段々強く、dolce e poco riten.ドルチェは優しくeが実はよくわからない。ポコは少しその次のriten.
はリテヌートの省略形ritenutoは速度を緩めて、そして次のカッコ2のa tempoは元の速度に戻る。
1番の出題はこれくらい、この曲英語名Artless mindですが、当たり前ですが競馬馬とは関係ありません。
2番 Arabesque アラベスク
2番はアラベスク、ラシドシ♪ラシドレミ!の、発表会の選曲にもよく登場するブルクミュラーの名曲です。アラベスクとはアラビア風の唐草模様状の左右対称の図柄とも室内装飾ともいわれます。
音楽のアラベスクはそのように華やかな曲ということですが、、。
ついでにバレエのアラベスクというポーズは片足で立ってもう片方の足を後ろにのばしたもの。
なんとなく、オリジナルのアラベスクから段々かけ離れていくような気がしますが、ブルグミュラー以外で有名ところで難易度はグンと上がりますが、ドビュッシーのアラベスクがあります。
で、2番アラベスクで最初に出てくる曲想記号はleggieroこれまたよく出てくる記号なので1番のdolce同様覚えてしまいましょう。レジェーロと読みます。
意味は軽快に、軽く、しかも優雅に軽く後半に出てくるのはdimin.e poco rall.だんだん弱く徐々にテンポを遅く、次の次の小節でin tempoなんのことはない、1番で出てきたa tempoと意味は一緒、元の速さに戻ります。
この辺、間違い探しみたいなちょっと違って意味はほぼ一緒みたいなの多し。ten.はテヌート音一杯に弾いてくれ。つまり短く切って弾くスタッカートと逆をやればいい。っつて感じ。
そして、わたしこのブルグミュラー25の優しい練習曲の記号にメをつけたのは、、。時としてあるいは頻繁に、面妖な記号が現れるのです。
何これ?こんなの知らない。これ習った?それとも忘れただけ、あるいは最初っから覚えてなかった。
ブルクミュラー25の練習曲昔やらなかったの?てね。
やったけどね。その頃の先生楽譜にちっこく書かれた横文字についてなんて何も講釈してくれなかった。(わたしはしますよ。)
不覚にも2番でわたしが忘却の彼方に飛んでいた記号は、risoluto。リゾルートと読みます。最後から2小節目に出てきます。キッパリと断固として弾け。とのこと。
最後の両手のミレドシラ次Amの和音を断固として弾いて終わりましょう。
3番 PastoraleもしくはPastoral 牧歌
Andantino 付点四分音符がテンポ66、8分の6拍子ト長調。Andantinoは貴婦人が(もちろん昔の貴婦人)優雅にのんびり歩くテンポのAndanteよりちょっと速くというわけがわかったようなわからないような速度記号ですが、速度で迷う場合はメトロノームを活用しましょう。
デジタルピアノならば楽器そのものにメトロノームが組み込まれています。
ここで出てくるのは、のだめカンタービレで有名になった曲想記号、dolce cantabile.dolceは1番で(2番のアラベスクにも出てきます。)出てきた甘く優しく、愛らしく+cantabileカンタービレは歌うように表情豊かに。
まずは出だしの右手、左手全休符のソシドレシミレソミレシドを美しい自前の声で歌うように弾きましょう。自前の声美しくないもん。という方も、美しいと夢想して歌うように弾きましょう。
カンタービレ歌うように、この記号こそ覚えましょう。それもドルチェ付きで甘い声で歌うのです。
これこそ超有名な記号です。3番のいいところは面妖、奇天烈な記号は出てきません。
最後のdim.——e——poco—–rall.は、点々中ずっとだんだん弱く少しのんびりしましょう。という意味。
また、4番以降は後日記事にいたしますので、期待してお待ちください。