コードネームのある楽譜

コードネーム付きの楽譜は珍しくはない。小学生たちが持っている。お上から支給された歌の本にも1段譜にコードネームは大抵書いてある。だからコードネームが読めれば伴奏を付けることが出来る。

コードネームと言っても暗号だとか、スパイが使う非匿名の類ではない。

音楽に使うコードネームは要するに和音の略号というか和音のお名前のこと。わたしはかくも長き幼少よりのピアノレッスンではコードネームなんてものには全く関わりなく過ごしてきた。

そうさ、普通クラシック楽譜にはコードネームなんざついてない。だからクラシックしか弾く気がなければコードネーム覚えることないさ。とは、思いません。詳しく掘り下げて学習することはないかもしれないけれど、コードネーム汎用性があっていいものです。

ピアノ指導する場面でもチューリップが弾けた(右手だけ)ら、伴奏譜書いてやらないでコードネームをつけてあげて、C,F,G7の基本3和音教えるのです。

原則クラシックの楽譜はコードネームついてませんが、ちゃんと後世の人がコードネームをつけてくれたクラシックの楽譜だってあるのです。


わたしが持っている楽譜ではこれです。

ブライダルプレーヤーのプロ向けの楽譜です。ブライダル用なのでクラシックの曲も多数収められています。

ブライダルの場面での演奏についても丁寧な解説がついていますが、バッハやドビュッシーまでの作品にもコードネームをつけたのはポップス系のピアニストには直感的に分かりやすい。わたしもそうだけれど、クラシックのピアニストは最初から最後まで上から下まで、とにもかくにも楽譜通り弾く。音符のタマ以外にも作曲家の意図がどこかから汲み取れないかと、目を凝らし睨みつけ端から端まで舐めるように探索する。これよv(=^0^=)vと、思った箇所は赤鉛筆で印をつける。

哀れ楽譜は概ね仕上がった頃にはボロボロとなっている。

当然クラシックピアノを弾く場合は、試験、コンクール、コンサートではおのれはそのように考えていたのか!という作曲家の意図を察知し、1音余すところなく正確に鍵盤を打鍵するのが良い子とされる。

だが、人様の結婚披露宴でBGMもしくは多少の準主役くらいの立ち位置でピアノ弾くには、このようなスタンスは当然敬遠される。

わたしはブライダルの場面で弾いたことないのだけれど、それくらいはわかる。例えば、新郎新婦が入場して着席するまで結婚行進曲を弾く。リクエストの如何問わず、メンデルスゾーンにせよワーグナーにせよだ。

新郎新婦が着席しちまったのに、まだこの曲先が長いのよ。最後まで弾かなきゃ怒られるのよ。というわけにはいかない。曲の途上だろうと、アラおふたりが通路歩いてるうちに曲が終わっちゃったわ。だろうと、席についたところで結婚行進曲は終わらせなければならない。

ワーグナーは変ロ長調メンデスゾーンはハ長調。ワーグナーⅠの和音のコードネームB♭メンデルスゾーン言わずと知れたC。クラシックの場合は普通は6だの9だの4だのという余分の音はつけないでシンプルにⅠで終わる。

これを焦って終わりにしたように、あるいは無理やり取って付けたみたいに聴こえないように終了させるのがプレーヤーの技術となる。

ご挨拶の場面でリクエストがあったとしても、原譜にここは思い切りフォルテで景気よく弾け。と、書いてあっても来賓様の声がかき消されるような大音量で思い切り主張して弾いてはいけない。

そしてコードネームのほうを眺めながら、この場面はこんな凝った編曲はいらぬ。と、弾きやすくその場で編曲、あるいは即興してしまうのもOK。わたしには真似の出来ない技法です。

だが!更に高等技術はコードなしの1段譜にも伴奏付けてその場で編曲して弾けてしまう人が居る。

もっとすごい人はそもそも、楽譜なんてものが存在しなくて即興でピアノを弾く。大譜表なしにはピアノが弾けない。1段譜にコードネーム見て弾くにしても幼稚園のお歌、くらいが精一杯なわたしから見たら神の領域です。

クラシックの人、の割にはわたしはコードネーム読めるのですが、わたしの知識と技術は所詮その程度なので、うちはコードネームの基礎は教えますが、コードピアノは教えられません。