ピアノが嫌いな子

ピアノ教室の生徒募集のコピーで、「うちでレッスン受ければピアノが大好きに、音楽が大好きになるよヽ(*´∀`)ノ」
わたしこの手のコピー見るとなんだかザワザワするというか「ホントかよ(嘘だろ)」と、思うか、もしくは「そっかー、わたしが幼少の砌ピアノが嫌いでたまらなかったのはその頃の先生が悪かったのか!」(それもいくらかあるのですけどね。わたしの場合のピアノ嫌いの1番の罪人はわたしの母親であると今では確信しております。)

もちろん今どきピアノが習いたくて、ピアノでこんな曲を弾きたい。という動機で入会して、ピアノが好きな気持ちを継続してもらいたのですが、、。

100%の少年少女がピアノが好き(*´ω`*)でいてくれるのはやはり本音言えば困難。
ドードーと、ピアノが習いたいわけでも弾いてみたいわけでもない。モードで入会してくる成人及びそれに近い年齢のグループは保育士志望の方々。

もっとも、この場合あまりにピアノが好きで昔っから習いたかったのを習えずに大学生及び専門学生になってしまったような成り行きでピアノに嵌ってしまうと保育士になるための他の勉強が疎かになる恐れがあるので、テキトーに嫌いなのもまるごとOKだと思う。

ピアノ嫌いをなんとかピアノに気持ちを向けさせる対策としては、ピアノが嫌い。と、いうよりピアノの先生が嫌いなケースは治療法は超簡単、ピアノの先生替えればいいのです。
なにも「うちの子あなたが嫌いで、先生が嫌いだとピアノまで嫌いになったのでやめさせます。」とは、言わなくてもいいでしょうけれど、ピアノはクラス担任ではないのであまりに相性が悪ければ退会して好きになれそうな先生探せばいいのです。




最も多いと思われるのは練習するのが嫌い。バージョン。
これは普通練習するのはたいていの人は嫌いなので、真性ピアノ嫌いとはちと趣が違う。
そもそも練習しなければ弾けないから練習するので、練習すればこれが弾ける。という成功報酬の循環ができれば克服出来る。

ピアノが嫌い(>_<。)のキーワードでわたしが少女の頃よく覚えているのはアグネス・ザッパー著の「愛の一家」。
舞台はドイツ子沢山のあまり裕福でない音楽家一家のハートフルなお話です。

わたしがピアノ嫌いから、自発的に練習して気に入った曲が仕上がると成功報酬の快感に目覚めた頃。

こうまでピアノ嫌いでも習わせられる大人に近い女の人だっているんだ。

この本、小学校の図書館にあったのか、わたしの実家は祖父が出版社勤めだったせいもあって書籍が山をなしていたので、そのうちの蔵書だったかは記憶定かじゃないのですが、定かなのは愛に溢れた父母やお子様たちでなく、このお父さんのもとに通ってくるお嬢様の生徒。

この話を掘り返すにあたって、わたしは愛の一家の書物2冊ばかりAmazonから取り寄せたのですが、1冊は少年少女向けの簡易翻訳で、もう1冊はコミックだった。
あれと同じ本ないかいな?探すとしたら神田にでも行かないとダメかな?

なので記憶を辿ってこのお嬢様生徒。金に困り始めた一家にとっては救いのをもたらしてくれたのです。
この時代は生徒一人でそんなに楽になるくらい月謝高かったのか?とも、思いました。

ともあれ、一家の窮状から救いの手を差し伸べてくれた生徒だったのですが、ピアノ教師の本来の仕事としては全く外れ。
才能なかったの?ではなくて、(それもあったんだろうけど。)要するにやる気がない。ピアノは嫌いなんだけれど事情が有って習わないわけにはいかない。

つまりはデビュッタントなのだが、殿方とお話するにあたってピアノのレッスンの話題になった時、まさかピアノ習ってません。
とは言えないじゃないですか!

社交界デビューするにあたってお嬢様の当然の嗜みピアノをやらないワケにはいかない。動機はそれ以上でもそれ以下でもない。
着飾って結婚相手探しのパーティーに出席してダンスをして楽しい時を過ごし、殿方からのプロポーズを待つ。

このような華やかかつ、ワクワクするイベント参加の代償にはつまらないユーウツな義務がついてくる。
ピアノのレッスンなんてヤだよ。

この情景じゃ習う方も教える方もさぞや苦痛だっただろうって。

その実態たるや、お嬢様はイヤイヤ練習してるもんだから一向に上達せずに間違ってばかりいる。

昨日は何処其処の舞踏会でこんなドレス、明日は何処の舞踏会でドレスは何色なの、、。その合間のピアノレッスン。

そこで先生は、、。

着飾って出席する楽しい舞踏会に挟まれてピアノのレッスンじゃあお嬢様だってかなわないだろうよ!って、さっさとレッスン切り上げちまって、お母さんがこれでやめられたらうちは困る(経済的に)けど、、。と、心配しました。
だが、お嬢様のご家庭だって娘のピアノ嫌いは重々承知で娘の気持ち尊重して早めに切り上げてくれた。だけですんだ。

このアグネス・ザッパーの名作の如く、真性のピアノ嫌いという人は残念ながらいる。
どうしても嫌いでたまらない。のは無理に好きになる努力しなくてもいいんじゃないか。というのがわたしの指針です。